政治家が高齢者ばかりに目を向け若者を蔑ろにするのはなぜなのか。元大阪府知事の橋下徹さんは「政治家が大切にしているのは、『選挙に行く有権者』だ。高齢者の約7割は投票するけれど、若年層は3割程度しか投票しない現状では高齢者に視線が向いて当然である」という――。
※本稿は、橋下徹『13歳からの政治の学校』(PHP新書)の一部を再編集したものです。
国民全員を見れるわけではない
高齢者の約7割は投票するけれど、若年層は3割程度しか投票しない。
だとすれば政治家たちの視線は、「高齢者7割」に向くと思いませんか?
だって、彼らこそが自分を政治家にしてくれているわけですから。
仮にあなたが「生徒会メンバーになりたい」と意気込み、校門で生徒一人ひとりにビラを配っているとします。
そのビラを読まずにあなたの目の前で捨てている人のために、あなたは働きたいと思いますか?
ビラを受け取り、熟読して「応援しているぞ、頑張れよ!」
と声をかけ、実際に投票してくれる人のために働きたいと思いませんか?
政治家はよく「有権者の皆様のために」「国民の皆様の声を真摯しんしに受け止め……」と言います。でも、彼らは実際には「有権者の皆様」や「国民の皆様」全員を見ているわけではないんです。
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政治家が大切にしているのは「選挙に行く有権者」
彼らが大切にしているのは、「選挙に行く有権者」です。そして「自分に投票してくれる有権者」を最も大切にします。
「選挙に行かない有権者」など、政治家にとっては重要ではありません。「選挙に行く人」、そして「自分に投票してくれる人」こそが、自分たちにとって真に大事にすべき顧客(お客様)だからです。
だからこそ、僕は声を大にして言いたい。
「若者たちこそ選挙に行ってほしい!」と。
「いまの政治家は、俺ら若い世代のことなんてどうでもいいんだよ」
「子育て世代の苦労なんてわかっていないんだよ」
「若い人間は損をして、高齢者ばかり得しているじゃないか」
もしそんなことを思っているのなら、どうか投票所に行ってください。テレビやスマホの前で文句を言っている暇があったら、各政党・各政治家の言い分を知り、自分の思いを投票用紙にのせて政治に自分の思いを反映させてください。
シルバー民主主義に陥おちいっている政治家たちに、「若者たちもここにいるよ!」「俺たちも顧客だぞ!」「私たちも政治を託す立場なんですよ!」ということを示してください。
もし10代〜30代の投票率が80%になれば、政治家たちは目の色を変えて、若者世代向けの政策を次々と打ち出し始めますよ。若者が大切なお客様になるのですからね。