パーソルクロステクノロジー株式会社は、久留米工業大学 インテリジェント・モビリティ研究所とLe DESIGN株式会社(久留米工業大学発ベンチャー)と共同で開発した新発想の小型自動運転モビリティ「PARTNER MOBILITY ONE」 を1月18日から2月6日、東京都・お台場で行われたモビリティの体験イベント「未来を乗りにおいでよ。次代モビリティのまち体験」(※1)で走行させました。
写真は左から、日本科学未来館 館長の浅川 智恵子氏、東京都知事の小池 百合子氏、Le DESIGN株式会社 代表取締役社長の東 大輔氏、パーソルクロステクノロジー株式会社 代表取締役社長の正木 慎二
「PARTNER MOBILITY ONE」は、自動車など輸送機器関連の豊富な技術・知見を持つパーソルクロステクノロジーがこれまで培ってきたモビリティ開発のノウハウを活かして車両の設計開発を、久留米工業大学が車両開発の企画・統括を、Le DESIGNが車体のデザインを担当して開発した小型自動運転モビリティです。2022年11月から走行テストが開始され、今回のイベントでは多くの方に乗車体験をしていただきました。
(※1)「未来を乗りにおいでよ。次世代モビリティのまち体験」とは
未来のモビリティを体験できる東京都・港湾局主催のイベントです。東京都では、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出し、都民が質の高い生活を送る 「スマート東京」の実現を目指しており、その先行実施エリアの一つ、ベイエリアで1月18日から2月6日まで、EV(電気自動車)仕様の自動運転バスや、観光向け新型自動運転モビリティ、視覚障害者を目的地まで自動で誘導するスーツケース型のロボットなど4つのモビリティ体験が行われました。
目次
「PARTNER MOBILITY ONE」ってどんな乗り物?
大型のテーマパークや公園、ショッピングモール、空港、駅、介護施設、医療機関などでの利用を想定して作られた小型自動運転モビリティです。着目点は4つ!
1、あらかじめルートを設定すれば目的地まで自動走行が可能 2、スマートフォンやタブレットを用いての遠隔操作が可能 3、アプリを利用すれば無人送迎が可能 4、ベンチ型で2、3人が同時に乗車が可能 |
1、「あらかじめルートを設定すれば目的地まで自動走行」ができるため、公園や駅などをモビリティだけで人やものを載せて走行することが可能。また、決まった場所で停止することもできます。
2、カメラを搭載すれば、「スマートフォンやタブレットを用いての遠隔操作」も可能。カメラで走行状況を監視したり、遠隔でスタートや停止を指示したり、また、あらかじめ走行ルートにある障害物を避けて走行するよう設定することもできます。
3、専用の「アプリを利用」し、「PARTNER MOBILITY ONE」を呼び出せば、最寄りの車両が時速3km/hの走行速度で、無人運転で迎えに行きます。
4、「ベンチ型で2~3人が同時に乗車」が可能な耐重量190Kgの設計。ベンチに腰掛けるように座るだけなので、移動に不安を抱える高齢者や子どもも乗りやすく、家族などで一緒に乗車して観光などを楽しめます。また、直線を基調としたシンプルなデザインなので、天板部に収納ボックスやさまざまなセンサー、ロボットを容易に搭載できます。これにより、施設内の配送業務や安全監視業務などはもちろん、プロジェクトマッピングなどと連動した観光ガイドも可能になります。
イベントの様子
今回、小型自動運転モビリティ「PARTNER MOBILITY ONE」は、パナソニックプロダクションエンジニアリング(株)の追従型ロボティックモビリティPiiMo(ピーモ)とともにイベントに参加し、日本科学未来館前の走行エリアにて事前申し込みをいただいた226名もの方々に試乗いただききました。
また、1月26日には、小池 百合子東京都知事とメディア関係者が参加するイベント開催セレモニーとモビリティ体験会が催され、当日は、パーソルクロステクノロジー 代表取締役社長の正木 慎二も参加しました。
イベント開催セレモニーは、日本科学未来館・シンボルゾーンにて行われました。「開会のあいさつ」を行う小池都知事
「PARTNER MOBILITY ONE」についてのプレゼンテーションを行うLe DESIGNの東氏
左から、Le DESIGNの東氏、試乗する小池都知事と浅川館長、パーソルクロステクノロジーの正木
小池都知事と浅川館長が、「PARTNER MOBILITY ONE」に座って移動している間、東氏は付き添い歩きながら「移動に不安を抱いている方々にも、大切な人と一緒に外出を楽しみ、想い出をつくっていただきたい」といった開発に込めた想いを語りました。
また、試乗の感想を求められた小池都知事は、「ベンチごと動くというものですので、『こういうのでディズニーランドに行けたらいいね』なんて(乗車中に)、今、2人で(浅川館長と)話をしていました!」とも語っていらっしゃいました。
日本科学未来館前の走行エリアでの試乗の様子。Le DESIGNの東氏が「PARTNER MOBILITY ONE」について説明。車両の側面にはPERSOLのロゴが!
「PARTNER MOBILITY ONE」の開発リーダーに聞きました!
~イベントの反響から今後の展望まで~
澤田 浩二/パーソルクロステクノロジー株式会社 技術開発統括本部 第1技術開発本部 第2設計部 設計4課 マネジャー
今回のプロジェクトでは、プロジェクトマネジャーを担当。6人のチームメンバーとともに開発に邁進
パーソルグループ初のモビリティに大勢が注目!たくさんの「いいね」の声!
――大盛況でした。イベントを終え、今のお気持ちを教えてください。
澤田:今回、このようなイベントに久留米工業大学のみなさまと参加させていただきき、本当に良かったです。
我々開発メンバーはこれまで多くのモビリティに関わってきましたが、車体に「PERSOL」とブランド名を入れて、“私たちの車です!”と公表できたのは「PARTNER MOBILITY ONE」がはじめて。走っているのを見て誇らしい気持ちになりました。
また、「PARTNER MOBILITY ONE」は、移動に不安がある方も含め、多くの方に家族や仲間と一緒に楽しく乗ってもらいたい、という想いからベンチ型になったのですが、大変楽しそうに試乗してくださる様子を直接目にすることができたことも、開発メンバーの意欲向上にもつながり、すごく良かったと感じています。
車体に入った「PERSOL」のブランド名を笑顔で指さす正木
――イベント期間中の試乗者数は、220人超えだったとか。どのような方が試乗をされたのでしょう?
澤田:小学校入学前の小さなお子さんから80代の高齢の方までさまざまな方が試乗してくださいました。自動車開発や、次世代モビリティの研究開発に従事する方はもちろん、一般の方でも、試乗のためにわざわざ大阪や名古屋から来てくださった方々もいらっしゃいました。本当にありがたいことです。
――試乗された方たちの反応はいかがでしたか?
澤田:とても楽しんでいただけていました。80代のご夫婦が乗りながら「どんどん便利になるね」と、うれしそうに会話をしているのを聞いたときは、喜んでもらえたのが伝わってきて、思わず笑みがこぼれましたね。
ほかにも、「ベンチが動くという発想が新鮮。実際に座ってみてとても快適だった」「楽しかった。多くの場所で実装されることを期待しています」、「高齢者や障害のあるかたにとても役立つと思う」といった声を多くいただきました。
――「PARTNER MOBILITY ONE」を共同で開発することになったきっかけは何だったのでしょうか?
澤田:久留米工業大学の東教授が、かねてから「地域の課題や、豊かな生活の実現に、技術で貢献したい」という思いのもと、複数の企業と連携して1人乗りのモビリティ開発を進めておりました。そして、この度、「移動に不安を抱えている人が1人で乗る車ではなく、ご家族と一緒に乗って楽しめる、2~3人乗り(横乗り)タイプの車をつくってみないか」と、ご提案いただいたのがきっかけで、その直後の2021年の9月から早速開発に取り掛かり、22年10月の完成セレモニー(大学構内で開催)に向けて開発チームが始動しました。
「こんなモビリティあったらいいね」の声を形に!
――「PARTNER MOBILITY ONE」は今後、どのような場で活用されるといいと思われますか?
澤田:ゆくゆくは介護施設や医療機関などでも活用されるといいなって思っていますが、全国各地の広大な観光地を持つ地方自治体や、大型商業施設で活用いただくことを目指しています。
そのためにも、「PARTNER MOBILITY ONE」を進化させていかなければいけないなと考えています。
――進化とは?
澤田:「PARTNER MOBILITY ONE」に搭載している自動運転機能は、世界中で機能や技術の見直しと改善の真っ只中ですし、ほかの機能もまだ一般の方が使うには、使いづらい部分があります。いろいろな場所で使っていただくためにも、安全性、機能性、操作性などを改善して、誰もが簡単に操作できる車両になるようにしていきたいですね。また、試乗した方々から「持ちやすい手すりにしてほしい」「背もたれがほしい」などの声もいただいています。そうした声にも真摯に向き合い、より安全で快適な乗り物に改良していきたいと思っています。
――今後の意気込みを教えてください。
澤田:「PARTNER MOBILITY ONE」の改良・改善はもちろんですが、新しいモビリティにも挑戦していきたいですね。たとえば、ドローンだったり、空飛ぶ車だったり……。人を乗せるものでも、荷物を運ぶものでも、「こんなモビリティ、あったらいいね」、という声を形にしていきたいと思います。